勉強会参加「子供たちの見る力を育む」H28/5/28

子供たちの見る力を育む

 大垣市情報工房にて、視機能検査センターの谷口先生の「子供のみる力を育む」と言う講演会に参加して来ました。
 見る力(視機能)は発達特性を有する児にとっても重要な問題であると同時に感覚統合の観点からも非常に重要な項目です。
 特に固有受容覚、前庭覚の発達と密接な関係にあり、学習障害(LD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)とも密接な関係にあります。
 発達支援を行う、しらゆり療育センターにおいても非常に重要な講義を聞けたと思います。

http://opty.jimdo.com/

(視機能検査センターのHP)

はじめに

 皆さんは視機能と言う言葉はご存知でしょうか?
視力と言うと…病院などで行われる視力検査(遠くのものを見る)を創造すると思います。
しかし、それは静止視力の遠視と呼ばれるごく一部の能力テストです。

視機能とは、見たものを適切に脳で処理してプレゼンテーションをする能力です。

 今回は谷口先生がご講演下さった内容についてまとめ、今後の当院での訓練に活かして行きたいと思います。

「見る力」とは

1)目から情報を取り込むための目の機能
2)取り込んだ情報を理解する機能
3)他の感覚機能や運動機能との連動

 体の運動能力同様「見る力」にも個人差がある、上手に使える人もあれば、苦手な人もいます。この個人差は視力だけではないという事です。

見る力が関係するつまずき(幼児期~学童期)

 目の機能は生まれて間もなく使えるようになりますが、5才~9才が特に発達する時期であると同時に臨界期であるとの事です。
 主たる発達が遅いにも関わらず、衰えは早く20才頃からピント調節機能を中心に低下して行きます。
 ここからも、視機能の訓練が発達の時期に非常に重要であると言えます。

幼児期
 自分の意思で視覚を使い世界と繋がりながら、感覚、運動とリンクしてボディイメージや空間認識を高めていきます。
 つまずきがある場合は一つずつ時間をかけて無理なく、焦らず取り組むこと、そして環境を整えて行くことが重要です。

学童期
「見る力」に弱さがあると、学習上につまづきが出やすくなります。特に、発達特性(LD、ADHD、ASD)のある子供では見る力に支障を来たしている事が多く、学習へのつまづきを抱える事が多くなると言えます。

 

視機能(見る力)とは

 では、講義いただいた、視機能についてまとめて行きます。
大きく分けて6つの要素を持っています。

Sight(サイト)目に見えた情報を網膜を通して、脳に伝える能力

1.視力
 大きく分けて静止視力と動体視力とあります。
静止視力:止まっているものを見る力。冒頭で紹介した通り近視力と遠視力と分けられます。
動体視力:動いているものを見る、または自分が動いている際にものを見る力です。

Vision(ビジョン)

2.眼球運動
見たいものにすばやく視線を正確に移動する、見た情報を取り込むための眼球運動能力。

3.調節能力
見ているものにピントを合わせる能力。

4.両眼視能力
見ているものの遠近感、立体視(3D)が分かる能力。運転やキャッチボールにはこの能力が重要です。
 私見ではありますが、発達において一番重要な能力だと感じた能力であり、私自身も偏りがあると感じた重要な能力です。

5.見ているものを分析・統合する認知能力、情報処理能力
形を見分ける(形態認知)、空間における位置の把握(空間認知)、視知覚機能(視覚情報を理解する機能)などです。

6.目と手のチームワーク、目からの情報と連動して手を動かす能力。
目と手の協用(協調性)作業療法の守備範囲とも非常に共通する点ですが、ハサミを使う、折り紙を 折るなどの手先の器用さに現れる能力です。

発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)

 発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは、脳損傷によるものを除く、聴覚や視覚などの感覚障害がないとしても、また知的発達が正常であるとしても文字がなかなか習得できない障害です。
 日本では約8%いると報告されています。
これらの特性を抱えた児には無理やり通常に授業を受けさせる事は、特性により苦痛でしかありません。
 本人は、その特性により、学校での居場所や自信を失い、学業から遠ざかるだけでなく、本来持っている様々な可能性を失ってしまうリスクがあります。

 時には時間をかけた授業(板書を細かく区切る、ゆっくりにする、段階的に消す等)、時には苦手な視機能を補う訓練を実施するなどで改善する例もあり、何らかの支援を受けることで機能的にも後述する心理的にも充足を得ることが出来ます。
(注意:効果を保証するものではありません)

学校でみられる場面として特に着眼するのは

・定規、分度器、コンパスを使えない。
・文の終わりを省略、勝手に読み替えてしまう。

 谷口先生の臨床統計から状況二つの項目は特に差が出来るとされています。これらの様子が見られた場合、専門機関への相談に促していくことが重要です。
 専門的な支援を求めるだけでなく、悩みを抱える児の見え方を理解してもらえる人がいるという安心感は児の挑戦を支えるものとなります。
単なる治療目的だけでなく、理解者を得られたという安心感を得る事が重要であるとの事でした。

 

具体的治療

 訓練には色んな工夫がなされていました。
詳細は、冒頭にあります。谷口先生のホームページをご覧ください。
 やはり、関心の引き方と必要な訓練と関心事項の結びつけが重要であると感じました。
詳細な内容は割愛させていただきます。

ここからは主観です。

 特性を補う事で本来持っている能力を発揮できる事は、クラスに1割ほどいる学習への躓きを抱える児の未来を変える可能性を感じました。

 そこでポイントとなる「見る力」ですが、明確な視反応は2~3才のうちに成人レベルに見ている(見えているが意味が分からないため5~9才が臨界期となる)

 と言う事は前述のとおりです…
 

5~9才と言うのは、年長さんから小学4年生頃を指します。のでちょうど当センターのフォローするべき時期の方々ではないでしょうか?
 谷口先生の講義では発達期における、両視力(両目でみる力)の重要性を語っています。
 物事を立体的見る、両目で追う、能力の重要性は今回の講義だけでは吸収しきれなかった部分があります。
一から視機能について勉強を行い、発達支援の在り方を見直す機会を得れたと考えています。
しらゆりに行けば、分かってもらえるという安心感を得てもらる様に努力を続けて行きたいと思いまいした。

粗雑な文面ではありますが、改めて今回貴重な機会をご案内いただいた谷口先生に感謝の意を表すると共に結びとさせていただきたいと思います。

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