【いつからできる?】三輪車と発達年齢【正常発達学】

 こんにちは、はびりSPOTの作業療法士YASSYです。今回は三輪車について扱って行きたいと思います。

 保育などの現場においてもよく見かけられ、自転車の前身的扱いを受ける三輪車。結構多くの方が成人になるまでに1回くらいは乗るのではないでしょうか?

 今回の記事は、より良い発達経験をお子さんにさせてあげたいと考えておられる保護者さん、保育士さん、療育に関わるスタッフさんで、これから三輪車の購入を検討されている方に、どんなメリットがあるのかを感覚統合の観点からご説明させて頂き購入の参考になればと思います。

何時からできるもの?

三輪車に乗る男児

日本版デンバー式発達スクリーニング検査によると、2歳半からこぎはじめるお子さんが出てきて、3歳で90%の子がこげる様になる粗大運動であるとされています。

引用:上田礼子著,日本版デンバー式発達スクリーニング検査(増補版),医歯薬出版株式会社,1980.

さらに付け加えると初めて自転車の補助輪無しで乗れるようになった年齢のデータがある様で、4歳から6歳の間でだいたい75%が乗れている様です。
つまり2歳6か月頃から挑戦して、3歳頃から安定して乗れる様になって、4~6歳の自転車に乗れる頃まで堪能する乗り物と言えます。

どんな効果があるの?

 三輪車は比較的安全に体幹協調運動や両下肢の身体の感覚を刺激できる遊具です。専門的に表現すると下記の通りに表現できます。

  • 上肢と下肢の分離運動
  • 座位保持の改善
  • 下肢の運動と体幹コントロール(姿勢反射の活用の改善)
元気な子ども

 なんか小難しい言葉を並べてますが要するに…運動に必要な力にだけでなく。しっかり座る力も養われるという事になります。

 体と手でバランスを取りながら車輪をこぐ。さらにリズム良く左右の足を使う感覚も育てられるので結果的に勉強に集中する力に繋がって来るなんて…不思議ですね。このメカニズムについては感覚統合療法を学んで頂けると良いと思います。

感覚統合療法を学ぶなら(Amazonへのリンクです)

感覚統合療法を学ぶ際に、役立つ書籍の紹介です。
今回は感覚統合療法学会でオススメになった2冊を紹介します。

感覚統合Q&A 改訂第2版―子どもの理解と援助のために

感覚統合療法学会の方が書かれた一冊で、筆者もこの方の講義を受けてきました。だから推すと言うわけではありませんが、とにかく分かりやすい。がっつり理論まではと思う方も誤解無く理解できると思います。

 イラスト版発達障害児の楽しくできる感覚統合―感覚とからだの発達をうながす生活の工夫とあそび 。
 著者は日本感覚統合療法学会のトップの方です。故に日本で感覚統合療法を学ぶものとしてはスタンダードになると思います。
 ちょっと安易に感覚統合を語る書籍が多く出回っており、解釈が誤っているものも目立ちます。私も和訳を行いましたが、原著者であるエアーズ先生の考えを全く含めずに方法論だけを書いた本もあるのでこれを選んでおけば問題ないと思います。

注意!勉強に関心が向くかは別問題ですよ。
三輪車を沢山やった=勉強できる…では断じてありません。

書くのに困る

ちょっと専門的に分析

 感覚統合療法で言う所の行為機能の両側性やシークエンスに該当する能力が良く刺激できます。

 逆に言うと三輪車に上手に乗るためには、両側性や以前の姿勢保持や身体図式と言う能力が必要となり、三輪車に上手く乗れないお子さんはその辺から刺激を入力してあげる必要があります。

 前述と通り三輪車に乗れないお子さんは、姿勢保持や身体図式に課題を抱えている可能性があります。順序的には姿勢保持から見て行く事が望ましいです。しかし、育児や保育の場面では難しいので身体図式からみて行きましょう…。

ちょっと良く分からない単語が多くてわかりません。

ではもう少し簡単な分析方法をお伝えします。

 育児や保育場面ではどのように考えたらよいのか簡単な結論だけお伝えすると…今回のテーマは3歳の発達段階の話をしていますので、それ以前の身体を使った運動ができているかを見れば概ね解決します。

 3歳三輪車に乗ると言う項目は、「両足飛び」「片足立ち1秒ほど」「上手でのボールなげ」などがあります。これらは2歳頃からできるようになる動作です。

引用:上田礼子著,日本版デンバー式発達スクリーニング検査(増補版),医歯薬出版株式会社,1980.

 上記の項目が出来ているならば、ゆっくり頑張ってみたり、楽しくなる工夫でできるようになる可能性が高いと言えます。
 これらが出来ていない場合には、1歳程度の運動課題に戻ってあげる必要があります。

三輪車に乗れない時の対応

 直前の動作から考えると、階段を上ることが挙げられます。ジャングルジムなどに登る遊びも良いでしょう。
 あと筆者は個人的にサッカーが好きなのでサッカー遊びもオススメしています。蹴る為の姿勢制御や階段昇降動作は片足立ちを含めた姿勢を保つ事(姿勢保持)や身体を認識する力(身体図式)を強化してくれます。

では何時買うべき?

 まぁなくても良いと思います。

 と言うと身も蓋もないので、あえて言うなれば、2歳頃半でジャンプや片足立ちができる程度になったら良いと思います。

っと言うよりも、無いと関心が向きませんのであったら良いかなぁと思います。
あんまり高い物を買って使って欲しさにやらせるのは宜しくありません。
あくまで、「やりたい気持ち」を自発的に持たせて、「楽しく」やって貰わなくては意味がありません。矯正してやらせるとか報酬でつるなどはこの段階では必要ありません。

やりたい時にやれるだけやらせてあげれば良いのです。

 購入はあくまで、機会を与える事が目的です。あんまり高いものを購入して必死にならない様にしましょう。

個人的な実践例とオススメの三輪車

ボーネルンド三輪車

 3歳4か月の娘とお散歩に三輪車を用いています。後ろの荷台に途中で貰ったミニトマトを載せて走っています。

 この三輪車を選んだ理由は、通っている保育園に置いてあった三輪車であり、私や妻(発達の理学療法士)もお気に入りのお店、ボーネルンドの取り扱うウィンザーの三輪車を娘に買い与えました。

発達のOT、PT夫婦が薦める理由

BorneLund(ボーネルンド) Winther ウィンザー社 ペリカンデザイン三輪車 Vハンドル カラー(荷台つき)紹介しておいてあれですが…高いですね…。

 オススメのポイントは…まずは色が可愛いw

 失礼しました。真面目に解説すると…

  1. フレームがしっかりしている事と、ペダルに対してハンドルが高いので足の動きを邪魔をしにくい。
  2. ハンドルが高いが真ん中が低くなっている事で体幹の前傾運動を行いやすい。
  3. ハンドルが高い為、前傾時に姿勢が硬めやすい。

 難点は組み立て時に少し慣れが必要ですが、不器用な作業療法士でもどうにかなりました。

 子どもらしい可愛い配色で、荷台も意外と便利です。何より頑丈なので多少荒い乗り方をしても大丈夫です。少々値段が張るので、おじいちゃんおばあちゃんがプレゼントされるケースも多いようですが、私たちは、他のお子さんが使っている動作を見て即決致しました。

 ただ…オーバースペックな気もしますので、ここまでの三輪車は必須ではありませんし、なんなら、三輪車は保育園等で遊ぶ程度でも良いともされています。

なので商品選びに関しては参考程度に考えて頂ければと思います。 

 私たちが選んだ理由は、病院のリハビリスタッフは家に帰るのも遅くなりがちで、夜家で遊んであげられる時間も少ないので休みにしっかりと身体を使った遊びができるように買い与えました。こんなものなくとも、毎日しっかり全身を使って遊んであげれば十分なのですが、それができない場合のひとつの選択肢程度にお考え下さい。

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