【1ヶ月で改善】HS式ひらがな書字練習

はびりSPOT式書字練習全て
この記事は約10分で読めます。

 発達特性の有る、無しに関わらず、ひらがなを書ける様になるにはお子さん毎の苦労があります。療育現場で聞かれる声として…

療育者
療育者

二画以上になると書けない。

保育士
保育士

「あ」など字が重なるとなぞるのも難しい。

指導者
指導者

形にはなるけど、バランスが悪い。

 こういった声がよく聞かれます。今回はそれらを解決する為のプロセスと具体的方法をご紹介して行きたいと思います。(プロセスを大切にしているので記事が長いですよ)

本記事のテーマ

 ①書字の苦手さを改善するための思考プロセスの解説
 ②はびりSPOTのオリジナル書字練習の紹介

 副次的効果
 作業療法臨床実習の実践型実習における、アセスメントから介入までの流れの指導にも用いています。某作業療法士の指導を受ける学生は一度チェックしておくように(すごく上から目線ですいません)

書字改善までのフロー

Ⅰ.アセスメント:お子さんの書字困難の原因を考える。
Ⅱ.長期目標  :目標とする書字の段階を決める。
Ⅲ.短期目標  :困難要因挙げて解決策を決める。
Ⅳ.方法・実践 :HS式書字練習を理解・実践する。メイン
Ⅴ.モニタリング:効果を確認して方法を検討する。

記事のエビデンス(根拠と信頼性)

 記事は、執筆時で経験年数15年、発達障害領域で6年目の作業療法士が執筆しています。
 しかし、臨床の場において成果は出ておりますが効果を医学的に検証出来る程のデータは集まっていません。
 作業療法士が効果があるとアセスメント(見立て)した事例で成果を出しています。

読者さんへのメッセージ

 本記事では…
「専門家ではないけど、身近なお子さんの「書き」を改善したい。だけど、どこから手をつけていいか分からない」という方に向けて書いています。
 対象年齢は5歳以降を想定しています。
 この記事を読むことで、「書字獲得までの目標設定、具体的な練習方法」までをイメージできるようになると思います。

はびりSPOT式練習シート
はびりSPOT式 ひらがな書字練習シート

 本記事は、「はびりSPOT式の書字練習」をお伝えする記事ですが…実は、療育の視点を盛り込んだ記事となっています。大切なのは方法論ではないのです。お子さんがどの様な悩みを抱えているのかを理解する視点が大切なので細かく書いています。
 療育に関心がある方だけでなく、保育や育児の視点を書いておりますので、時間がある方は全体をお読み頂ければと思います。

それでは、さっそく見ていきましょう。

Ⅰ.アセスメント:お子さんの書字困難の原因を考える。

 支援する上で一番大切な所なので説明が長くなっております。練習方法だけを知りたい方は、「④方法・実践」までジャンプして下さい。

 因子の分析にはWISCと言う知能検査の結果が参考になります。書きの獲得だけに関して言えば特に「PRI」と呼ばれる「知覚推理」WMIと呼ばれる「ワーキングメモリー」が関与が特に大きいと考えていますが、今回は難しくなり過ぎるの割愛して簡単な言葉でお伝えして行きたいと思います。

書き方の3段階

 まずはその子の書くことの段階について考えて行きましょう。

書きの段階は…
①なぞり書き
②模写(見ながら書く)
③想起書き(聞いたり読み仮名を見て、思い出して書く事)
の3つ段階があります。

引用:高畑 脩平他:みんなでつなぐ読み書き支援プログラム(リンク先Amazon)

 保護者様からの希望として挙がる場合の多くは…
 なぞり書き」から次の段階に行けない事を「書けない」と表現され、
 想起書き」にならない事を「覚えられない」と表現される方が多い印象を受けます。

字が書けない要因

字が書けないと言ってもいくつかの要因が考えられます。

字が書けない要因例

①書くことに関心がない。
②書く事を回避している。
③姿勢が保てない。
④見本が見れていない
⑤見ながら書く事が難しい…等です。

要因の解説

 ①関心が無いことや②回避しているに関しては、理解できない事や、失敗体験が裏付けになっている可能性がありますので教材などで改善が期待できます。

 ③姿勢に関しては身体の使い方や過敏性などが原因となっている可能性がある為、専門的支援が必要なケースもありますが、多くは身体を思いっきり使ってみるなどで改善しえます。

 ④見本が見れていないと言うのは①や②と関連があります。視機能とかビジョントレーニングと言う言葉で語られる事もありますが根本の解決は専門的支援が必要です。
しかし、書くことだけで考えれば教材で対症療法的に乗り越えられる場合もあります。


 ⑤見ながら書く事が難しい、手先が不器用など協調と言う能力に課題を抱えている可能性があります。この場合は形を覚える事で代償するケースが多い状況です。

Ⅱ.長期目標:目標とする書字の段階を決める。

 まずは、どの段階を目指しているのか整理しましょう。すると目指すべき短期目標がみえてきます。
 短期目標は、長期の目標に対する阻害因子で決まってくるのですが…作業療法の学生や現場のスタッフでも、ここが繋がっていない人がいます。しっかりと分析を行って適切な対応をしましょう。

 療育の分野では今できている事の次のステップに必要なものを挙げます。

「書きはじめ」→「なぞり書き」→「模写」→「想起書字」→「スムーズな書字」

上記の中から選ぶと分かりやすいですね。

Ⅲ.短期目標:困難要因挙げて解決策を決める。

なぞり書き困難例

 ③の姿勢でつまづいているお子さんはなぞり書きで既に苦労します。まずは、身体の感覚を満たしてあげる感覚統合療法の行為機能の訓練をオススメします。

感覚統合療法を手軽に実践するのにオススメの本(リンク先Amazon)

感覚統合Q&A 改訂第2版―子どもの理解と援助のために
 医学が専門でない方にもわかりやすい様に、具体的困りごとから解説の始まる明日からの保育、療育現場で活用できる一冊。医療現場においても、入りたてのスタッフに読んでもらう一冊として活用しています。

イラスト版発達障害児の楽しくできる感覚統合―感覚とからだの発達をうながす生活の工夫とあそび
 文字が苦手な方でも視覚的なイメージで内容が入ってくるためおススメですが個人的には保育士の方や学校の先生方に対して説明する際に理解を得やすい手ごたえは上の本です。

模写困難例
友達と宿題

 ④のケースは模写の段階で苦労が生じている可能性があります。「線の捉え方」「空間の知覚」の能力などの課題が考えられるケースです。このケースにおいてHS式書字練習の最も効果が期待できるケースです。詳しくは④実践で後述します。

想起書き困難例
想起書きで困っている児への対応を学べる一冊(リンク先 Amazon)

みんなでつなぐ読み書き支援プログラム フローチャートで分析、子どもに応じた オーダーメイドの支援
本記事の引用文献としても用いている一冊です。書きだけでなく読みからつまづくフローチャートから解決策、合理的配慮まで療育に必要な視点をまとめてある読み書き支援に関わるなら持っておきたい一冊です。

例外 協調困難の例 

  また⑤の協調する能力でつまづいているケースは、どの段階でも苦労があります。
 多くのケースで苦労が絶えませんが、「カタカナ」と「1年生から3年生までの漢字」を頑張ってもらう事で、後は字のパズルで突破できる可能性が高くなります。

 そこまでは、関わる方々に配慮いただけると随分楽になると思います。一人でやらせるのではなく、寄り添って一緒に頑張ってもらう事で取り組みが維持できるでしょう。

協調の困難さは発達性協調運動(DCD)と関連がある事が多いので別に書籍を紹介しておきます。

発達性協調運動障害について学べる本(リンク先 Amazon)

発達性協調運動障害の評価と運動指導ー障害構造の理解に基づくアプローチ
 略してDCDについては、筆者も勉強中でまとまっている書籍を選ぶことが難しい状況です。本によっては誤解を招くものあってオススメできない本はかなりえらべるのですが…。
 筆者がDCDに対する学習で一番中心にしている本をご紹介します。ちょっと理解は難しいです。でも理解したら突然DCDのお子さんに対応が上手になります。現場をしている方が読んだらすぐに世界が変わります。

Ⅳ.方法・実践:HS式書字練習を理解・実践する。

HS式書字練習のご紹介です。
現在無料DLできる専用練習シート関連YouTubeチャンネルへのアクセスはリンク先参照)

はびりSPOT式練習シート

はびりSPOT式書字練習の特徴

はびりSPOT式練習シート

 見本の見せ方を工夫した書字練習方法で、見本は、文字を線ごとに色分けされており、認識しやすくなっています。

色分けで見やすく、伝えやすく

概ね書き順どおりに「」「」「」「ピンク」「」の順番になぞって行くことで形の認識をしやすくした練習方法です。
なぞりと模写の二段階で練習をして頂き、模写の獲得を目指します。

形の認識に課題がある場合には、なぞる際に対応した色のクレヨンでなぞってもらうとより認識しやすくなります。(の部分は赤のクレヨンなど)

また色分けされている事で、「縦かいて」、「横書いて」などの言語よりも「なぞって」、「なぞって」と指示を出した方がお子さんも分かりやすいと言う特徴があります。今なら無料ですよ(ボソ…)。

弱点を補う指導方法

 色分けは画数毎ではなく、重なるポイントの所で色が変わります。その為、書き順の学習には適していないと言う弱点を抱えています。

 まずは構成を覚える事に重点を置いた練習法の為、形が覚えられましたら、最後に鉛筆や「黒」のクレヨンなどで書き順にそって書いてもらう必要がありますので、ご指導をお願いします。

四分割のマスで字のバランスを確認しやすい

練習用のシートにはマスが四分割されており、灰色と白の4つの四角形がある事で、位置関係が把握しやすく、かつ説明する人が長さや位置を説明しやすくなるように工夫をしています。

無料ツールで楽々練習。YOUTUBEのチャンネルで同じ教材を使った解説をしていますので、文面で分かりづらかった場合は一度ご覧頂ければと思います。

関連動画

You Tube 療育SPOTチャンネル

Ⅴ.モニタリング:効果を確認して方法を検討する。

 視覚的な課題が大きいお子さんで初めてトライした段階から「字の正確性」や「筆圧」などの面で改善が見られます。
 それで1か月ほど反復練習して頂ければなぞり書きのレベルはクリアできます。

 これで困難さがある場合には十分に楽しめていない可能性もある為別の方法を検討します。詳しくは後述…。

 なぞりがクリアできたら効果を見て今のステージを楽しんで下さい。できるようになった事の定着にはそのステージをしっかりと楽しむ事が大切です。出来たら次!っと焦る事は良くありません。ただ、次のステージが見える様に環境を整えてあげる事が大切ですが…その方法についてはまたの機会にでも…

 「想起書き」やスムーズさについては使う機会を創出を繰り返してほしいです。YouTubeでも紹介している「書きしりとり」がオススメです。(リンクはその部分の動画に飛びます。)ただし、書きがメインの場合は時間は図らずゆっくりとやってあげて下さい。苦手は重ねない!療育の奥義です。

書くのが楽しい

 このように実際の1か月の様子をみて、本人が字を書くのを楽しめているか確認してあげて下さい。「ママ」とか「パパ」って書いてくれたらすごくうれしいですし、書けたら盛大に褒めてあげましょう。適切なタイミングで最大級の褒め言葉!療育の奥義です。

 はびりSPOT式書字練習を実施しても効果がでないお子さんのいらっしゃると思います。専門的支援も受けづらい環境にある方にお勧めしたい方法が紹介します。

療育の視点にも配慮された オススメ外部ツール

 こちらは JustSystemsさんの提供されている有料サービスです。
 このタブレット学習は療育を受けているお子さんで利用率が高い教材なのですが、作業療法士の視点からもオススメの理由があります。
 はびりスポット式書字練習ツールの上位互換なのです。なぞり書きなどに専用ペンを用いてタブレットで学習するものですが、私たちが目指した形の完成形でした。
 似たようなツールを目指していましたが、この教材の存在を教わって(撃沈!)

 これには…勝てん…(確信)制作を断念しました。。。。_| ̄|○
 年払いで「月3,000円から」ですが、療育に通い付き添っている時間を思えば…自分のペースで学習を進められるなど、普通の学校教育にも取り入れてもらいたいレベルの教材なので高すぎると言う事はないですね…
 できれば、私どものツールで解決する事を願います。

 今回の記事はここまでです。非常に長い文面を最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
 皆様の参考になればと思います。
 参考になりましたらTwitterなどでコメントを頂けると幸いです。それではより良い保育、療育ライフを!

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